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噛み合わせの驚異<2>

私は二十数年前にオートバイ事故で左側の前歯を根本から、右側の前歯を半分ほど失い、
それ以来義歯を付けています。
先日その左前歯の根本がぐらつきだし、
いつもお世話になっている山ア歯科医院で新しい歯と土台を作っていただくことになり、
新しい歯が完成するまでの間取りあえず仮歯を付けてもらいました。

ところが数日後その仮歯が夕食で骨付き鶏肉をかじった際にポロリと取れてしまい、
すぐに治療に行く時間的余裕のないまま、
まる五日もの間、前歯が一本欠けた状態で過ごすことになってしまいました。

前項の「噛み合わせの驚異」でも書きましたように、
歯の一本一本は人体各部と密接な関係を持っていて、
ほんの少しの歯の不具合が身体全体に様々な症状となって現われてきます。
今回は前歯が一本抜けたことによって、
そのことを身を以て学習させてもらいました。


前歯が一本抜けているという事実はマスクでもしない限り周りの人たちに隠しようが無く、
かなりみっともなくかっこ悪いものです。
間が抜けているというかバカみたいというか、
自分の顔を鏡で見ていると、なんとも情けない気分になってきます。

「バカみたい」に見える前歯が抜けた状態ですが、
実際に前歯を欠いた状態では心身ともに不安定になり、
すべての感覚器官のバランスが崩れ鈍くなったように感じを受けました。

何をやってもトンチンカンになりやすく、
少しでも気を抜くとすぐに集中力が途切れていまいます。
これはまるで「思考が細い平均台の上をふらつきながら歩いている」
といったような感覚です。

よく漫画などで痴呆老人が登場する時は、
口をぽかんと開け、その開けた口の中の歯は何本か抜け落ちている・・・、
といった形で描かれることが多いですが、
これは私たちが一本一本の歯とその噛み合わせの状態が
日常の知的活動に大きな影響を与えているということを
経験的に知っているからでしょう。

実際に痴呆老人の多くは歯の状態が悪く、
適切な入れ歯を処置することで痴呆の程度が改善される例が数多くあります。


そして前歯が抜けていることを最も実感するのが食事をしている時です。
食べ物を噛みにくいということはほとんどないのですが、
何を食べても味気なく、食べ物の美味しさ、食の楽しさを感じることができず、
急激に食欲が減退してしまいました。

食べ物を歯で噛む動作は、その食べ物の種類によって様々ですが、
まずは前歯でかぶりと囓り、舌とアゴの動きで食べ物を奥へ持っていき、
奥歯を使って噛み砕くというパターンが多いようです。

この最初のひと囓りするための前歯に不具合があると、
なぜか奥歯で何度食べ物を噛みしめても、
食べ物本来の美味しさがにじみ出てこないのです。

奥歯に不具合があり、左右どちらか一方の歯でしか噛むことができなかった
いわゆる片噛み状態の時にでも、
不便さは感じたものの、このような食べ物の美味しさを感じないといったことは
あまりなかったのに、
歯の持つ役割とはまったくもって不思議なものです。

食べ物だけではなく飲み物でも同様で、
何を飲んでも美味しさ半減です。
お酒でもコーヒーでも、グラスから喉に流れ込むまでの間、
抜け落ちた歯の隙間を通り、歯が抜けているということを実感するためなのか、
味を楽しむことがほとんどできません。
唯一以前と同様に美味しく感じたのは、ストローで飲むジュースだけでした。

味は分かっても、その味わいを楽しむことができない、
味と味わいは違うものだということがよく理解できました。


32(28)本の歯はすべて身体全体の機能と深い関わり合いを持ち、
人体という小宇宙とフラクタル(自己相似形)な関係を持っています。
これは脳もまた同様です。

今回の経験から直感的に感じたのは、
思考のバランスを取ったり、
味わいという深い味覚の世界を司る役割がある前歯、
この前歯の働きは脳でいうならば、
右脳、左脳というふたつの対をなす大脳を結びつけ連携を取る
脳梁(のうりょう)の働きに相当するのではないかということです。

右脳と左脳を繋ぐ脳梁

前歯が脳梁であるとするならば、
当然のことながら右脳、左脳は左右の奥歯(臼歯)ということになるのでしょう。

右脳、左脳がいくら発達していても、
そのふたつを結びつける脳梁がしっかりと機能しないと、
脳全体の力を十分に発揮することができません。

前歯には「統合、繋ぎの理」があるようです。


その前歯が大きく前面に飛び出ている
いわゆる「出っ歯」の人たちとはどういうキャラクターの持ち主なのでしょうか。

出っ歯ですぐに思い浮かぶのが漫画「おそ松くん」のイヤミ、
お笑いタレントの明石家さんまなどです。

イヤミ

明石家さんま

このふたりに代表されるように、
出っ歯の人のキャラクターというのは一般的に明るい、おしゃべり、楽しい、
面白い、気さく、行動的、・・・ などがあるようです。
ちょっと悪く表現するならば、
軽佻浮薄、表面的といった面もあるかもしれません。

前歯の「統合、繋ぎの理」と出っ歯のキャラクター、
まさにピッタリではないでしょうか。


出っ歯と正反対、前歯を隠すように口をしっかりと閉じ、
アゴや下唇を突き出した状態は「しかめっ面」です。
何かと統合することも繋がることも拒否した表情です。

統合、繋がりの象徴である前歯を見せる笑顔は受け入れOK、
前歯を隠したしかめっ面は受け入れ拒否となるのでしょう。

唇をへの字に結んでいるダルマさん、

ダルマさん

このダルマさんのモデルは禅宗の開祖である偉大なる達磨大師、
面壁九年、洞窟の壁に向かって九年間座り続け悟りを開いた方です。

「統合、繋ぎの理」とは対極の「ひとつのことを徹底する」ということを
象徴的に表しています。

歯は人体とフラクタルな小宇宙であるがゆえ、
このように一本の歯から様々な思考を広げていくことができます。


前歯を一本欠いていた五日間は心身ともに疲れ果て、
新しい歯を入れていただいた時には心底ホッとしました。
しかし新しい歯を入れていただいた当初はどうしても違和感を感じ、
口を動かすたびに新しい歯に意識がいってしまいます。

新しい歯の噛み合わせ調整は、
歯の噛み合わせ部分に赤い両面カーボン紙を当て、
それを歯でゴシゴシとこすり合わせて噛み合わせの状態を確認し、
少しずつ適切に削りながら調整をしていきます。

調整を終え、先生は笑いながら「これで大丈夫です」と言われるのですが、
自分としてはすごく違和感を感じ、
実際に新しく入れた左の前歯の方が右の前歯よりも噛み合わせのあたり具合が
強いように感じました。

ところが数時間経ってフッと気が付くと、
左右の前歯のあたり具合がほぼ均等になっているのです。
これは「慣れ」ということではなく、
新しく歯を入れたことによって噛み合わせの状態が
微妙に変化してきたためと考えられます。

つまりたった一本の歯を五日間なしで過ごしたことによって、
顎関節の動きが微妙に変化してきていたのでしょう。

一本の歯で身体の感覚が微妙に変化し、
それがひいては顎関節や骨格のズレを引き起こしたり、
様々な病気や不定愁訴の原因となってしまいます。

すべての歯は一本一本それぞれが
かけがいのない大切な役割を担っているのです。


新しい歯を入れる治療に山ア歯科医院を訪ねたとき、
ちょうど筋無力症の年配の女性が治療に来られていました。
筋無力症とは筋肉の力がなくなってくる難病で、しっかりとした治療法が無く、
治療をしても悪くなるのを遅らせ現状を維持するのがやっとという方が
たくさんおられるのだそうです。

治療に来られていたご婦人は闘病生活十三年、
ほとんど全身に症状が及んでいるご様子でしたが、
一回目の治療でパソコンのキーボードを押す指がよく動くようになり、
二回目のその日は前回取った歯型からスプリント(歯の上に被せるギブスのようなもの)
を作り、入れてもらわれ、
ほとんど動かなかった腕が少し上に上がるようになり、
とても喜んでおられました。

車椅子を押して介護されているご主人も「信じられません・・・」と言ったきり
絶句されていました。

全国に歯の噛み合わせの不具合が原因で身体の不調を抱えておられる方、
また噛み合わせの調整をすることで、
心身ともにより快適な生活を過ごすことのできる人がどれくらいおられるのでしょうか。

驚異と呼ぶにふさわしいこの歯の噛み合わせの世界、
一人でも多くの人にこの事実を知っていただき、
そして体験していただけることを心から願っています。

歯の噛み合わせ調整は、きわめて広範囲に劇的効果を現す
究極の根本療法なのです。

  噛み合わせと健康を考える  「山ア歯科医院のホームページ」

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