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2018年11月7日 ・・・ 破壊的衝動

NO MUSIC, NO LIFE.



タワーレコードのこのキャッチコピーは、
自分にとっても己の生き様を示す大切な言葉です。

音や音楽を愛してきて長い年月が経ちました。
「歌は世に連れ、世は歌に連れ」という言葉があるように、
自分の中でその時々に愛した音楽というのは、
その時の自分の心情を如実に表しています。

若い頃、激しいロックから音楽ファンとしての歴史が始まり、
その後ジャズ、クラシックと進み、
今はジャンルを問わずいろんな音楽を、
その時々の気分に応じて聴いています。

好きな演奏家の好きな楽曲をいつでも自由に聴くことができる、
インターネットによってこんな素晴らしい環境が手に入るとは、
十代、二十代の頃にはまったく想像すらできませんでした。

今はYouTubeの音楽動画は、
プロ、アマ入り乱れての他流試合のような感じで、
まったく無名のミュージシャンでも、
その音色に心打たれることがたびたびあり、
世界の広さを感ます。

昨日たまたまCANACANAさんという
日本の若い女性ピアニストの音を耳にし、
そのイキイキとした音色に度肝を抜かれました。

奏でる音一音一音に生気がこもり、
躍動するグルーヴ感には目を見張るものがあります。






音楽ジャンルに貴賤はありませんが、
一般的に最も高尚だとされるのはクラシック音楽です。

そのクラシック音楽を聴き、
心落ち着かせると勉強など作業に集中でき、
農作物に聴かせると育ちがよくなり、
乳牛は乳の出がよくるとのことです。
またお酒も美味しくなるとのことで、
ずっとクラシック音楽を流し続けている酒蔵があるそうです。



そしてクラシック音楽の中でも最もそういう効果が高いのが
モーツッアルトだと言われていて、
それはモーッアルト効果と呼ばれています。



モーッアルトの音楽は、
穏やかで優しい音色、緻密で整っていてかつ流麗といった印象でしょうか。
もし天上界で音楽が奏でられているとするならば、
それはきっとモーッアルトのような曲だろうなと想像します。
やはりモーッアルトの曲には、
それだけの魅力と高潔さのようなものが感じられます。


モーッアルト効果のことは以前からよく耳にして知っていましたが、
つい先日、モーッアルトの曲の中でも
kv.448、二台のピアノのためのソナタが
実際に効果が実証されているのだということを知りました。

早速その曲をYouTubeでいくつも聴き、
自分にとって最も心地いいと感じるアルゲリッチとバレンポエム、
両巨匠の演奏をダウンロードして繰り返し聴いています。



これは確かに心落ち着きますね。
鎮静効果があり、頭の働きが整えられるのだろうと感じます。

けれど人によってはこういったクラシック音楽を好まない人もいて、
そういう人がこの曲を聴いた時、
本当に望ましい効果が現れるのかどうか疑問です。

モーッアルトは胎教にもいいと言われますが、
それを聴くことによって母親がイライラを感じたら
たぶんいい効果は得られないでしょう。


心から求める音楽というのは時期によって異なります。
若い人たちが激しいロックに興味を持つのは、
有り余るエネルギーを打ち消すための破壊的衝動の一種だろうと感じます。

そしてあくまでも一般的傾向ですが、
それが少しずつ治ってくるとより穏やかな音楽へと趣向が変わってくるのでしょう。

そうやって音楽の趣向が変わっていっても、
その時々によって他の様々な音楽ジャンルにも心惹かれます。

自分の場合、クラシックを好んで聴いていた時期というのは、
比較的生活に波風が立たず安定していた時期です。
心が安定していなければ、
穏やかなクラシック音楽に耳を傾けようという気分になれません。

また何かに向かって進んでいるときは、
峻厳なバッハを無性に聴きたくなることが多いように感じます。


ここ最近は、音楽を聴くことよりも、
しばらく遠ざかっている自ら楽器演奏することに心が向いています。
これはきっとYouTubeでアマチュアを含め、
いろんな音楽家の演奏を耳にするからでしょう。

そして自分で感じていて面白いなと思うのは、
聴きたい音楽と演奏してみたい音楽が異なるということです。

普段家で聴いているのは一般的なポピュラーミュージックやクラシックですが、
自分が演奏したいと思うのは、昔取った杵柄で、
ディストーション(歪)の効いたロックやブルースです。

これには明らかに自分の中にある破壊的衝動を発散させたい、
昇華させたいという思いが含まれています。


創造があって破壊がある。
これは二つでひとつの陰と陽の関係で、
破壊的な衝動というのは、老若男女誰しもが持っているものです。

格闘技を含めたスポーツというのは、
それをやることも見ることも、
胸の内の破壊的衝動を昇華させるひとつの手段なのだと感じます。

要はそれをいかに自覚し、
健全な形で昇華していくかということです。


先にあげたCANACANAさんの演奏から得られるグルーヴ感には
胸がドキドキさせられ、
これは聴き手の内にあるエネルギーをいい形で
変換する作用があるように感じます。

音楽の持つ力は多様です。
タバコが吸う人に、時によって鎮静作用と興奮作用、
真逆の働きを与えるように、
音楽もまた、聴き手の思いによって様々な作用があります。

それを活かすためにも、自分が心の内で何を求めているか、
そこから何を得たいと願っているのか、
それを感じ取ることが原点ではないかと感じます。


原点と言えば、音楽の構成要素のひとつであるリズム、
このリズムの乗りは、心臓の波打つリズムが人類共通であるように、
誰が聴いても心が躍動するリズムというものがあり、
そういったものは、世界各地、土着の民族音楽よく見られます。

このバリ島のケチャなどは、
そういう意味では凄まじい肉体的鼓動、リズムです。



このケチャを聴いていて思うのは、
やはり音楽というのは、
破壊的衝動に限らず、内的な欲望や葛藤をよりいい形で昇華すること、
そして自然と一体化する目的で
元々作られていたのではないかということです。

それがその音楽効果を利用し、
今は場合によっては消費喚起のための店舗BGMで使われたり、
ヒトラーがワグナーを用いて民衆を洗脳したように、、
人を意図的に何かに導く目的で利用されることもあります。


自分にとって音楽はとても大切なものであり、
その音楽の何を求めるかで、
自分の心の内を知ることができます。

そしてそれを知ることができたなら、
それを昇華するという目標の半分は達成されたように感じます。

最近はインターネットのお陰で、
好きな音楽を好きな時、無制限に聴くことができるので、
その音楽とともに、その音楽と自分との関わりを、
より深く見つめていきたいと考えています。

破壊的衝動と創造的エネルギー、
この二つをいい形で自分のものにしていきたいです。

2018.11.7 Wednesday  
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