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2017年10月7日 ・・・ 素のままの自分

ここ最近、感情を手放すと同時に家の中のモノも大量に処分し、
気分がとてもスッキリしています。

心の中がクリアーになると、
周りの人たちとの関係を見つめ直すことができます。

それが目的でいろんなことを実践しているのですが、
それと同時に今感じているのが、
自分の素のままの姿が見えてくるということです。


感情を手放すと、心の中が無色透明、
渓流を流れる水のように清らかなものになるのかというと、
実際はそうはいきません。

心が軽くクリアーで見通しがよくなると、
これまで様々な感情によって覆われていた
心の奥底に歴然と存在する自分の素のままの姿というものが、
以前にも増して鮮明に見えるようになってきます。


高校の時の保健体育の教科書に、
クレッチマーの性格分類というのが載っていました。
クレッチマーの性格分類とは、
やせ形の人は神経質タイプが多く、
太っている人は大らかな性格、
筋肉質の人は粘着質、、
そんな肉体と性格の相関関係が説かれているものです。

これはその人の肉体的特徴と性格、気質というものは
切っても切れない関係であり、
持って生まれた肉体的特質は大きく変えることができないのと同様、
誰しもが、心の奥底に変えることのできない特質を
持っているのだということです。

「九つの性格」で有名なエニアグラムも、
その人独自の個性を九つのタイプに分けて説いています。

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自分はエニアグラムでは典型的なタイプ2、『愛を与える人』ですが、
そのタイプの特質として述べられていることは
自分にとってごく当たり前のことであり、
ついそれが、世の中すべての人が共通で持つべきものだと
考えてしまいがちです。

けれど他のタイプもそれぞれ独自の個性、考え方があり、
違うタイプの人たちがみなそれぞれの個性を尊重し、
理解し合っていくのは難しいことなのだということを知りました。


この自分の持つ個性は消すことができません。
また消す必要もないもので、
大切なのはそれをどのように活かすかということです。

現代人の多くは『自分を愛する』ことが苦手だと言われます。
自分を愛するためにはまずは自分を知ること、
そしてその自分の真の姿を受け入れることです。
そしてそのためには、自分の内をしっかりと見つめなければなりません。

けれど現代人は多くの情報を外から与えられ続け過ぎていて、
自分の内を見ることがとても苦手です。
そして自分を律するための価値観を外から、
しかもステレオタイプのものを受け入れてしまうので、
真の自分の姿とのギャップに大いに苦しむことになるのです。


これまでこのホームページの中で、
自分は“グータラ人間”だと何度も書いてきましたが、
やはりこれは自分にとっての消すことのできない個性だと、
最近つくづくしみじみ感じます。

人間の性格は、気が短いとか長いとか、
優しいとか厳しいとか、簡単に一元的尺度で測れるものではありません。

それは心の中には様々な要素が入り交じって存在し、
それらの中には、まるでジキルとハイドのように
まったく相反するものが少なからずあって、
それが時と場合によって、
代わる代わる顔をのぞかせたりすることがあるからです。

自分も心の中にはどうしょうもないダメ人間にあこがれる部分と、
理論物理学者のように勤勉に研究に明け暮れて成果を出したいという、
およそ真逆とも言える顔があり、
これまで何度もダメ人間を押さえ込み、
一流の研究者になりたいと願ってきたのですが、
そうすることには無理があるのだというとに、
この歳になってようやく気付くようになりました。


先日、鬼才のSM作家団鬼六の書いた『真剣師 小池重明』を読みました。

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真剣師というのは賭け将棋で金を稼いでいる人間のこと、
将棋をギャンブルとして捉えている時点からしてかなりのダメっぷりですが、
この実在した小池重明という将棋指しの破天荒な生き様は超弩級、
女と駆け落ちすること三回、
世話になった職場で金を持ち逃げして職を転々とし、
棋士人生のかかった大切な勝負の前に徹夜で飲み明かし、
対局中、自分の手番の時に横になって居眠りしてしまう ・・・ 。

それでも将棋については天賦の才を持ち、
アマチュア将棋界のトップに立ち、
プロも平手で何度も負かしてしまうという破格のものです。

将棋の世界はアマとプロでは大きな実力の差があり、
アマがプロを平手で負かすというのはとんでもないことです。

そんな自己破滅型の人生を綴ったこの本は、
他に類を見ないほどエキサイティングで面白いもので、
できるならこの本の記憶を頭からすべて消し、
もう一度最初から読み返したいとまで思います。

自分の中に、この小池重明のような破滅的で刹那的な生き様に
すごくあこがれる部分があるのを感じます。

重明は将棋をまともな形で学んだ人間ではないので、
戦法は独自のもので、
定石に則っていないので序盤はいつも劣勢を強いられながらも、
知らないうちに終盤で相手を追い詰める、というものだったそうです。

これには自分も共感するところが大いにあります。
自分が将棋を覚えたのは小学校5年生と遅かったのですが、
すぐに夢中になって友だちと指しまくり、
一年ほどでクラスでは負けることを知らないぐらいになりました。

その後中学校でも将棋をよく指しましたが、
定石に囚われない自分の指し方に、友だちから、
「サカイは上手いというよりも強い」と言ってもらい、
そのことをとても誇りに感じていました。

常識に囚われないアウトローな生き方、
これは自分の人生すべての面に於ける理想型だなと、
今これを書いていてそう感じます。


だいたい勝負師の持つ生き様や哲学に興味があって、
羽生善治の本も何冊か読みましたが、
羽生さんのような正当な棋士のものよりも真剣師小池重明、
麻雀の雀鬼桜井章一、無頼漢の小島武夫、
こういつた生き様に心惹かれます。

小島武夫のこの本も面白かったですね。
自分の内なる欲望に素直に生きる博打打ちは魅力的です。

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今読んでいるのが『インド怪人紀行』、
著者のゲッツ板谷を含め四人でインドを旅する紀行文で、
とにかくハチャメチャ、
メンバー四人、全員がみなどこかに“ダメ”な部分をしっかり持っていて、
それを包み隠さず描いているところがとにかくすごい。
それがインドのダメな部分とうまくミックスされ、
読んでいるだけで、インドのあの脂汗を焦したような臭気が漂ってきます。

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人間は誰しもみなそれぞれダメな部分を持っています。
そして大人になるとは、それを上手に隠せるようになることかもしれません。
その点子どもはそこらじゅうでタダをこねまくり、
まさに自然体、いいも悪いも人間の本質をそのまま表現しています。

この著者のケッツ板谷氏は、
若い頃にシンナーで歯を溶かし、
周りの家族もみんなアナーキーという環境で暮らし、
自分の本質をありのまま表現することが彼にとっての生き様となっていて、
実にイキイキとした文章表現にそれがよく表れています。

彼の書く文章の鮮度はピカイチで、
多いところでは数行ごとに声を出して笑い、
豊かで的確な表現には真面目に感心したりします。

世間一般の善悪は飛び越えた領域ですが、
板谷氏ほど自分の心の動きを正直に感じ、
それを生きた言葉で表現できる人を知りません。
これは憧れととともに嫉妬を感じるほどです。

この本は二三年前に買って一度読んだのですが、
小池重明の本に刺激を受け、また読み返したくなったのです。

常識に囚われない“ダメ人間”だからこそ表現できる生命エネルギーに、
生きる逞しさのようなものをもらえます。


よく言えば自分に正直、素直、
悪く言えば野放図なダメ人間、
それに憧れる自分の姿が最近よく見えるようになりました。

人間の生き様は、それがダメ人間であっても、
品行方正な聖人のような生き様であっても、
そこに芯の通った美学のようなものがあり、
“絵になる”ものであることが必要だと考えます。

貧乏人で卑屈な生き方は惨めです。
金持ちでも人を見下すような人間に憧れは感じません。

その生き方を貫く美学、それが抽象的な表現で“絵になる”ということですが、
そのことは、ずっと若い頃から考え続けていました。


そしてもうひとつ感じているのが、
自分の中には子どものようなダメっぷり全開の生き方を求めると同時に、
宗教家や学者のように真摯に真理を求めたいという学究肌の両面があり、
この状態のままダメな部分をクローズアップさせると、
アンバランスで絵にならないものになってしまうということです。

そこでこれまではそのダメっぷりを
なんとか押さえこもうと努力してきたのですが、
なかなか功を奏さず、
いつも中途半端な結果に終わっていました。

そこで今考えているのが、
このダメっぷりをいかに手放すかではなく、
一度それを徹底的に愛し、受け入れ、
そこから湧き上がってくるものを見つめていきたいということです。


人間は無くて七癖、
感情の表面にある様々な思いは手を尽くせば手放すことができますが、
その奥にある生まれ持った気質は変えることはできません。

大切なのはそれといかに付き合っていくかということ、
そのためには、それを一度徹底的に愛し、味わい尽くすことです。
自己否定からは決していいものは生まれません。

自分を愛するとは、
自分の欠点と思えるところをも愛し、受け入れ、
それを土台とすることだと感じます。

セドナメソッドでも、何かのことに抵抗を感じたなら、
その抵抗を手放すと同時に、
その抵抗を手放そうとする思いをも同時に手放します。


持って生まれた性格、
素のままの自分を愛し、それをストレートに表現できるってとても素敵なことです。

フォーク界一の飲んべえと言われ、
酔ってステージに上がり、
ステージの上でそのまま眠りこけてしまうこともたびたびあった故高田渡は、
いまでも多くのファンに愛されています。

高田渡を見ていると、
素のままの自分をしっかりと愛しているからこそ、
その愛が周りにも伝わるんだなということを感じます。
彼の歌を聴くと、ホント、心が温かくなってきます。



ごあいさつごあいさつ
高田渡

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自分を愛するから他人を愛することができ、
自分の欠点を受け入れることができるから、
周りの人のことも認められるようになるのですね。

2017.10.7 Saturday  
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