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2016年9月13日 ・・・ 勇気ある友

人間における、勇気や力強さとは何でしょう。
若い頃は、男性だったら筋骨隆々とした肉体であったり、
押しの強さといったことをイメージしていましたが、
少しずつ歳を重ねるごとに、
そういったものはより内面的なところに感じるようになってきました。

力強さの力とは、激しさを表すものではなく、
己の内面を律する力であり、
どんなことがあっても感情を荒立てることなく、
常に穏やかさと冷静さを保っていられる、
そんなところに本当の意味での力や強さを感じます。


あるトイレ掃除の大先輩が、
本当の勇気とは、高いところから飛び降りたりするようなことではなく、
人通りの多い交差点で、
下に落ちているゴミを周りの目を気にすることなく拾うことができる、
そんな身近なところにあるのだということを語ってくれました。

高いところから飛び降りるのは一時のことですが、
ゴミを拾うのは日常のこと、
身近な日常のことを続けられることこそ本当の力であり勇気です。


トイレ掃除の仲間に、
トイレ掃除が大好きで、
トイレ掃除のある前の晩は嬉しくてウキウキしてなかなか寝ることができない
という方がおられます。

Kさんといういつもにこやかで穏やかな方で、
自分はその方のことを『掃除の神様』と称し、
いつも頼りにさせてもらっていました。
七年前、自分がトイレ掃除をするようになったのも、
このKさんから誘われたことがキッカケです。

そのKさんが、今朝早く、
長く患っておられたガンによって六十余年の生涯を閉じられました。
今日は夕方、たくさんのトイレ掃除仲間も参列し、
Kさんの通夜が営まれました。

Kさんはいつも古びたカブで街中を走り回っていて、
後ろに取り付けられた箱には掃除道具が積まれています。
そしてハンドルのところにはゴミ袋が下げられ、
Kさんは交差点で停車するたびにカブから降り、
交差点に散らばっているゴミを集めておられました。

これなど常人が簡単に真似のできることではありません。
ある知り合いは、たまたま車でKさんの後ろを走っていて、
実際に交差点でKさんがゴミ拾いにいそしむ姿を見て驚愕したそうです。

いつも穏やかでにこやかで、言葉数の少ないKさん、
けれどKさんほど真の勇気を持った人はおられません。


広島にも掃除の会はいくつかありますが、
Kさんはその中でも特に熱心に方々の会に参加しておられました。

自分がKさんと最後に一緒に掃除をしたのは先月8月です。
暑い中での公園のトイレ掃除だったのですが、
その時すでに体調は万全ではなく、
膝が痛いのでしゃがむことができないと言われ、
公園周りのゴミ拾いをしておられました。

掃除が終わった時、みんなで飲むジュースを買いに行こうとしたら、
公園横のたばこ屋のおばあさんが全員分のジュースを差し入れしてくれて、
みんな笑顔でそのシュースをいただいたのが最後の楽しい思い出です。


Kさんの勇気ある生き様は、簡単に真似のできるものではありませんが、
Kさんの後ろ姿から学ばせてもらったたくさんのことを活かし、
Kさんの生き様に一歩でも近づくため、
これから具体的な日常行動を起していくつもりです。

それがKさんへのご恩返しであると信じます。

Kさんのご冥福、心よりお祈り申し上げます。



2016.9.13 Tuesday  
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