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2014年12月11日 ・・・ 自然は循環する

『天気晴朗なれど波高し』
心身ともに快調なれど・・・、やはりなかなかホームページが更新できません。

今も年末に向け、年内やるべきことをリストアップして取り組んでいます。
本だけでも再読のものを含めて二十冊近く、
ほぼ一日一冊のペースで読まなければなりません。

そんなことを言っていても仕方がないので、
今日は隙間時間を見つけてこれを書いています。


三十年ちょっと前、大学生だった頃、
奈良の県立美術館に洋画の展覧会を観に行きました。
そこには大きなキャンパスに描かれた宗教画がたくさんあり、
その中の一枚が今も心に残っています。

砂浜の波打ち際に、立派な白髭をたくわえた老賢者が頭を抱えて佇んでいます。
そしてその横にはまだ赤子のような子どもがいて、
その老賢者を慰めている様が描かれています。

絵の解説によると、
老賢者は寄せ来る波を最初から数えていたけれど途中で数が分からなくなり、
そのことで嘆き苦しんでいます。
そこに赤子のような子が近づき、
「波は永遠無限に押し寄せてくるので、また一から数え直せばいい」
と語りかけているとのことでした。
純真な子どもの心は悟りの世界にあります。

これは今の自分の心情とちょっとマッチします。
ここ半年ほどすっかり情報発信から遠ざかってしまいましたが、
それはひとつの流れであり、それを嘆いていても始まりません。

これを機会に子どものような新鮮な目に戻り、
また新たな形で再出発をと願っています。


先月広島で「食と農の映画祭」というイベントが開かれ、
そこで上映されている、大分県臼杵市が行っている
有機農業への取り組みを描いた『100年ごはん』という映画を観てきました。
  <100年ごはん>

・・・ 100年ごはん 予告編 ・・・


「子どもたちへ そして臼杵の未来のために」

健全な食のあり方を求め、
その健全な食(米、野菜)を作るための有機農業、
そしてその有機農業の土台となる土を作るための「臼杵市土づくりセンター」
臼杵市全体を上げての食への取り組みを、
この映画から知ることができました。

「100年ごはん」、
100年後の未来を見据えた、
次世代、次々世代へ向けての命のメッセージ。

  <予告編のテロップから>

「100年単位の仕事」に携わる人人の物語。
  新しいけれど、昔から大切な事。
    健全な魂は、健全な食べ物から。
      健全な食べ物は、健全な土から。
        無化学合成農薬、無化学肥料の野菜作りを推進する大分県臼杵市。
          有機農業をめぐる “はじめのはじまり” ドキュメンタリー。

幸せに生きる、そのための食のあり方、そのための農業、
そしていい農業を支えるための土作り、
こんな長いスパンで見た根本的で本質的な取り組みを、
臼杵市は行政を含め地域全体で取り組んでいます。

こういった物事への取り組み方や物の見方を、
これから是非日本全国、世界中に広めていかなければなりません。

映画の中で、地元大分で有機農業を営む赤峰勝人さんの提唱する農法が
取り上げられていました。
赤峰さんは超有名な有機農業の実践家でありメッセンジャーです。
臼杵市の取り組みの根底には、
この赤峰さんの活動が最も大きなものとしてあるのだと思われます。

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赤峰さんは自身の実践する有機農法を『循環農法』と呼んでいます。
自然の循環サイクルを活かし、それを壊すことなく自然と共存する中で、
人間の体にも自然環境にとっても理想的な農業を営むことができるというものです。

循環とは大きな生態系の中で、長い時間をかけて繰り返されるもの、
ですからその物の見方は必然的に時間的にも空間的にも大きな(マクロ的)
ものとなります。

大きくものを見つめるから、
目先のことに囚われることなく、
根本をしっかりと見つめることができます。

循環を意識し、そこに意識の焦点を当てること、
長い目、大きな目でモノを見つめること、
本質的な取り組みをすること、
これらはすべて同義です。


気仙沼で牡蠣の養殖事業に取り組む畠山重篤さんは、
いい牡蠣が育つ豊かな海を作るためには、
その海に水を供給する川、
その川の上流にある山に豊かな森を育てる必要があるという結論を導き、
自然の循環系の大切さを説いておられます。
  <NPO法人・森は海の恋人>

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これは赤峰さんの説かれる循環農法とまったく同じです。


奈良の法隆寺や薬師寺の西塔を建立した宮大工 故西岡常一氏は、
「いい大工になるためには、まずは木を育てる土を知らなければならない」と、
宮大工の師匠であった祖父の命により、
工業高校ではなく農学校に行きました。

西岡常一氏の有名な言葉、
『木を買わず山を買え』、『木の癖組は人組みなり。人組は人の癖組みなり』
神仏を奉る社寺建築は最高の品質を求められる巨大な芸術作品であり、
それを作るためにはすべてに於いて全体を見渡し、
それを統率する技量が必須です。




『一年の計は元旦にあり』
その “計” を心地よい状態で迎えるため、
年末はこれまでの一年、
あるいはより長いスパンで過去の人生の歩みを振り返る最適な時だと感じます。

一年の年回りと同様に、すべては循環しています。
循環し、元の場所に戻りながら、少しずつ進化していく。

これは渦を巻くらせんの形であり、
自然も人類の歴史、文明、そして人の人生、魂の歩みも、
このらせん進化の形に則っています。

そのらせん進化をスムーズに進めるため、
長い循環に則った考え方と歩みが必要です。

それを学ぶ最高の手本、それは自然の中にこそあります。

2014.12.11 Thurseday  
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