おしゃれに遅刻
「時は金なり」と言い、時間をいかに有効に使うかということは、
多くの人にとって生きる上での重要課題のひとつです。

グータラな性格の私は、ダラダラと時を過ごすことが多く、
お世辞にも時間の使い方が上手だとは言えません。
けれども人様の貴重な時間を無駄にすることはないようには常に心がけていて、
人との待ち合わせでは必ず約束時間のだいぶ前に行くようしています。

家から遠い場所に行く時などは、
乗り継ぎ時間、交通渋滞等をかなり余裕を持って考えるので、
30分以上前に目的地に着いてしまうこともたびたびです。
そんな時には、いつも携帯している本や iPod が役立ちます。

ただし相手が気心の知れた人や時間に対してアバウトな人の場合、
待ち合わせ時間ギリギリになってしまうこともあります。

以前はキッチリと約束時間のだいぶ前に行っていたのに、
最近は少しずつルーズになってきたなと感じた時は要注意です。
そんな些細なところから相手との関係が崩れたり、
気のゆるみから何らかのトラブルが生じることになるのです。

世界有数の資産家、篤志家であり、
大富豪でありながらとても質素な生活をしていることで有名な
投資家ウォーレン・バフェットのこの言葉を私は座右の銘としています。

  小さなことで規律を破ると、大きなことでも規律を破ることになる。

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公務員の汚職、天下り、政治家の不正、民間企業の談合、使い込み、
マスコミ沙汰になる様々な社会問題も、
最初はきっとほんの些細なことからはじまったはずです。

「襟を正す」、「親しき仲にも礼儀あり」ということわざのように、
身近なことや親しい人との間にこそ、モラルの崩れを注意する必要があります。

ただあまり堅苦しいのもいけませんね。
要は常に自分自身の行動、状態を客観的、冷静に見ることのできる目を持つということが
最も大切なのだと思います。


約束の時間前に行くというのは、
外で待ち合わせをしたり、会社に訪問したりする場合で、
普通の家を訪ねる場合は少し違います。

知り合いの家を訪ねる時は、
あまり早く行きすぎると相手にとって迷惑になることがありますので、
時間ちょうどになるよう時間調整をしたり、
相手によってはわざと少し遅れていく場合もあります。
TPOに応じてない知恵を働かせています。


英語の勉強をしていると、日本とは違った欧米の文化や価値観と触れることができ、
新鮮な驚きを感じることがあります。

The couple arrived fashionably late.

この英文の意味がお分かりでしょうか?
直訳すれば、 “そのカップルはおしゃれに遅れて到着した” ということですが、
欧米(だと思う)では、ホームパーティーには、全員が同時刻に到着すると
応対する側が困るので、
わざと5分、10分、時間をずらして訪問する社交の知恵があるそうです。

つまり上の英文は、 “ふたりはスマートに(少し)遅れて到着した”
というような意味になります。
欧米ではホームパーティーを盛んに行なわれるので、
このような心遣いが必要なのでしょう。
国が違えば文化や習慣も異なるのですね。


モンゴルの大平原で暮らす遊牧民の人たちについて、こんな話を聞きました。
遊牧民の人たちは定住の地を持たず、パオと呼ばれるテントや食料、家財道具、
たくさんの家畜を引き連れて、季節に応じて大平原を移動しながら生活しています。

パオ

ある時パオに穴が開いているのを見つけ、
それを修理しようとしたところ、こんなことを言われたそうです。
「今は穴が開いていても困ることがないから修理しなくてもいい。
 もし今修理したら、雨が降る時までにまた穴が開いてしまうかもしれない。
 修理するのは雨が降った時でいい」

これを聞いた時はほんの少し衝撃でした。
私たち勤勉な日本人の価値観としては、
「今できることを先に延ばすな」というようなことを言われ続けてきて、
それが絶対的な価値観だと信じてきましたから。

厳しい大自然の中で暮らす遊牧民たちにとって、
その日一日、その時一瞬一瞬が命のかかった戦いの場です。
それに対して私たち日本人は農耕民族で、
定住する家や蓄えというものをたくさん持つことができるので、
“今この時” よりも “未来” の方に目が向いていくのでしょう。

私たちが持っている常識というものも、
ひとつの文化の属性であるということを知りました。


「fashionably late」という言葉と出合い、
時についていろんな思いを巡らせました。
英語を学び、異文化と触れることは目を広げるキッカケとなります。

最後に森信三先生のお言葉を。

  一日は一生の縮図である。

Have a nice day!

2009.3.26 Thurseday


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