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上海<2>

9月9日、11日間過ごしたカンボジア プノンペンを後にします。
午後8時半、ひろしまハウスで学ぶ子どものお父さんの運転するトゥクトゥクに乗り、
三十分ほどかけてプノンペン空港へと向かいます。
フライトは翌10日の午前0時15分です。

旅の終わりはいつもなんとなくもの悲しいものです。
また再びここカンボジアを訪れるかどうかは分かりませんが、
今度来た時はあそこに行こう、あんな話をしよう、
こんな写真やビデオを撮ってみよう。
そんな後悔にも似た思いがわき上がります。


プノンペンから中国の上海へは、
時計の針を一時間進め、実質三時間半ほど乗った午前5時頃に着きました。
外は黎明の時を目前に控え、凜とした空気が張り詰めています。
ここ上海は、北京ほど大気は汚染されていません。

カンボジアに向かう時は、広島、上海、そして上海、プノンペン間二枚のチケットを、
広島空港で受け取ることができたのですが、
帰りは上海までのチケットしかもらえかったので、
飛行機から降りてすぐ、上海から広島までのチケットを発行してもらいました。

そんなこんな、入国手続き等で一時間ちょっとかかりましたが、
それでも飛行場のロビーに出た時はまだ午前6時台、
外に出るには早すぎます。
昨夜は夜通しのフライトでほとんど寝ることができなかったこともあり、
ロビーのソファーで、荷物の入ったリュックを枕に横になりました。


時間にして一時間ちょっと熟睡したように思います。
寝覚めスッキリ、乗り合いバスに乗って街に出ることにします。
広島行きの飛行機は午後5時30分発、
飛行場には4時頃までに戻ってくれば十分です。

乗り合いバスはいろんな路線があるようですが、
どれに乗ればいいのかよく分かりません。
たまたま停まっていたバスが香港サッカー場行きとなっていて、
そこは地下鉄の駅の近くでもあるようなので、それに乗りました。

どこの国に行っても公共交通機関に乗るのは楽しいものです。
上海の高速道路は快適で、日本の道路と変わりありません。



ただし道路の状態にきれいで整っていても、
交通マナーはやはり中国、日本と比べ、かなり悪いと言わざる得ません。

外の景色をよく見ようと、運転手さんのすぐ後ろの席に座ったのですが、
運転手さんは少しでも早く進みたいのか、
ウインカーを出さず、車線変更を頻繁に繰り返します。
大型バスは相当な全長があるのに器用なものです。
その運転の乱暴さと同時に、
事故を起さずスムーズに流れに溶け込むテクニックに感心してしまいした。

高速道路で支線が分岐する時、
そこが混雑していたら、日本の場合は後ろに長い車列ができます。
ところが中国の場合、多くの車が横入りしようと試みて、
長い車列という枝に、横入りする車が無数の小枝のように突き刺さった形になります。

その時の様子を写真に撮ろうと思ったら、
バスの運転手さんは一番前の方から横入りしようと
さっさと前の方に行ってしまいました。



これだけみんな交通マナーが悪いにも関わらず、
何事もないよいに普通に車が進んでいることが不思議であり驚異です。

朝の9時台、高速道路も下の一般道も結構な通勤ラッシュです。
上海には、昔懐かしいトローリーバスが走っていました。
トローリーバスは、ガソリンではなく架線から供給される電力で走ります。
日本でも大昔、町の中をトローリーバスが走っていました。



午前10時前、バスは終点の香港サッカー場に着きました。
料金は23元、約460円、一時間ちょっと街の様子を観察できていい経験でした。

上海の街は新しい建物と古い建物が混在しています。
古いタイプのアパートは、中国式に飛び出した棒に洗濯物をぶら下げています。



バスを降りたあたりを少しぶらぶらした後、
地下鉄に乗って豫園(よえん、ユイユアン)に行くことにしました。
ガイドブックによると、レトロな中国建築の街並みが見られるそうです。

地下鉄に乗るためにのったエスカレーターは、
急ぐ人のために左側を空けています。



豫園の駅を降りるとこんなカラフルな飾りを売る店が通りに並んでいます。
こういった原色系、好きですね。



お腹が減ったので少し早めの昼食を。
このあたりには、自分の好きなものをプレートに乗せ、
それを精算してもらうというスタイルの店がたくさんあります。
料理の種類は肉、魚、野菜、麺類からデザートまで多種多様です。



けれど値段は結構します。
お粥、シューマイみたいなもの、水のボトルの合計で46元、約920円、
とっても美味でした。



店は広いでのですが大入り満員です。
一階はほぼ満席なので、二階で食べました。



豫園の町は、かなり広い範囲にこういった建物が並んでいます。
どれも新しいもののようでとてもきれいです。





この町並み、以前どこかで見たことがあるような気がします。
しばらく考えていて、日本最古の湯、
道後温泉本館がこういった建物だったことを思い出しました。

そしてさらに考えていると、この豫園一帯はまるですべてが
「千と千尋の神隠し」の世界のように思えてきました。

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道後温泉本館は千と千尋の神隠しのモデルとなったところとして知られています。
これで頭の中でひとつのイメージがつながりました。

けれど本当は、台湾の九份(きゅうふん)というところが、
もっと「千と千尋の神隠し」の世界に近いそうですね。


お土産物屋さんは、何も買わなくても見ているだけで楽しいものです。
日本のAV女優の画像が使われている商品があり、目を引きます。



箱はカセットテープぐらいの大きさで、最初は何の商品か分からなかったのですが、
店の人がトランプだと教えてくれました。
「DVDかと思った」と言ったところ、「DVDが欲しいのか?」と店の人に尋ねられました。
商売熱心です。


2万平米と広大な広さの庭園、豫園に入りました。
豫園の外側を取り巻くレトロな建物と同じような建築物が、
美しい庭園の中に点在しています。





水辺にはたくさんの鯉が泳いでいます。
色鮮やかな鯉は美しい風景をより一層華美なものにしてくれます。
この感覚は日本も中国も同じです。





ちびっ子も鯉が大好きです。
鯉たちはよほどお腹が空いているのでしょう、必死になって餌を求めてきます。



豫園の庭園はきれいでしたが、
園の外の方がにぎやかで楽しそうに感じました。

ここに入るため入園料6元を払ったのですが、
それを売り場の窓口で買った時、
中にいる販売員の女性がガラス越しに、
スマホ片手に話をしながら対応していました。
片手で対応するので、お釣りでもらった紙幣も折りたたまれたままです。
このことが、豫園で最も深く印象に残りました。




中国の極彩色はきれいです。
インドカラーも色鮮やかですが、
中国の色の方が、いくぶんしっとりと滑らかなように感じます。





古いスタイルのアパートの向こうに見える高層ビル、
今の上海は、新しい建物の方が数多く、古びた町並みはごくわずかといった感じです。



その高層ビルが建ち並ぶ外灘までは歩いて行けるようなので、
ボチボチと歩くことにしました。

今回は広い川の対岸まで行くことのできるフェリーに乗りました。
片道2元、40円と安価です。



フェリーから見る高層ビル群は圧巻です。
周りの人たちもみなさかんにシャッターを押しています。



こちらは高層ビル群の対岸にある古き立派な洋館の数々、
外灘はこの対比が素晴らしいのです。



フェリーで川を往復した後は、しばらく川沿いの景色を楽しみ、
12日前に歩いたのと同じ南京東路を歩きました。
一度歩いたところは、だいたいの地理感覚が分かるので安心です。


もうそろそろ飛行場に向かわなければならない時間です。
バスは時間が読めないので、
リニアモーターカーに乗ることにしました。
リニアの発着駅である龍陽路へは、
ここから地下鉄で乗り換えなしで行くことができます。
地下鉄で切符を買うのもお陰様でもう慣れました。

リニアモーターカーの乗り場は、外国人の団体等で混み合っています。
けれどリニアは15分に一本と本数が多いので、
車内が満席ということはありません。



12日前に往復乗り、これが三度目の乗車です。
そして今回は昼間時の運行ということで、
なんと前回よりも130キロ超の、最高時速431キロで走りました!!



さすが400キロを超えると “かっ飛ばしてる” という感覚があります。
景色がすさまじい勢いで流れていきます。

ただし走行距離はたった33キロなので、
最高時速で走るのはほんの一分間あるかないかといった程度で、
最高時速に達すると、すぐに減速が始まります。

スピード感覚というのは面白いものです。
一度400キロ超のスピードを体感すると、
200キロぐらいに減速した時は、まるで徐行しているかのように感じます。

スピード感は対比、それとスピードによる恐怖心が元となっています。
たぶん400キロ超のリニアモーターカーよりも、
ハンドルにガタのある100キロ超の車の方が、
スピード感も恐怖心もあるものと思われます。


上海空港には予定通り4時前に着き、
無事広島行きの飛行機に乗りました。

飛行機の窓から眺め日本の夜景はきれいです。
日本が美しい島国であることを実感します。

この美しい日本で、また新鮮な日々をスタートできることに喜びを感じます。

2015.9.20 Sunday  

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