ロックダウン解除の日

今日は5月最終日、3月から続いたインドのロックダウンもいよいよ明日6月1日から段階的に本格解除になります。

感染の酷い地域はまだ厳しい規制は残りますが、交通機関の規制も緩やかになり、ちょうど丸三ヶ月滞在したここインド最南端カニャクマリから離れることができそうです。

どんなことでも思い方次第、自分にとってこの三ヶ月間は、これから大きく飛躍する糧を得ることができた素晴らしい日々だったと考えています。

インド生活で感じた身近な陰陽の話を。

この時空の共生関係の基本は陰陽です。
陰は膨張、冷、暗、精神、静、そういった理合い、
陽は収縮、熱、明、肉体、動、そういった理合いを表します。

陰陽の順序は陰が先で陽が後です。
なぜならば宇宙はビッグバンという膨張(陰性)で始まり、今も膨張し続けているからで、人間の性を見ても、性の原型は女性であり、男性は女性が異化して生じます。

広がる空間が陰性であるのに対し、その対極にある流れゆく時間は陽性です。

味覚でいえば辛味は陰性で、身体を冷やす(陰性)必要がある熱帯の人たちは、辛いカレーや香辛料のきつい陰性のものを多く口にします。

その辛いカレーも長い日数(陽性)をおき、その間何度も熱(陽性)を加えると、陰性が弱まって甘くなってきます。

自分は健康的なインドの食事は大好きで、特にチキンカレーとそれにいつも添えられるタマネギサラダが大大好物です。
タマネギ(タミル語でベンガーヤン)はヨーグルトと塩、唐辛子などと和え、これが絶品です。

元々生野菜は好物ですが、日本のタマネギは、熱を加えるか水にさらさなければ辛くて食べることができません。
けれどインドのタマネギは生のままでも辛味が少なくて美味しく食べられるのです。

インドのタマネギは日本のものよりもかなり小ぶりで、つまり収縮という陽性の力が強く、辛味が抑えられているのだと思われます。

インドのタマネギ

インドの安物の石鹸はなかなか泡が立ちません。
さらにそれが小さくなってしまったら最悪で、ただの塊(かたまり)といった感じです。

インドの石鹸

どんな石鹸も小さくなると泡立ちが悪くなります。
これはただ単に表面積が小さくなるからだけではありません。
膨張する泡は陰性であり、石鹸は製造される際、陰性の強い成分がその性質に従って表面の方に集まってしまい、最後に残った中心部(陽性)は膨張の対極である収縮力の強い成分が多くなるからです。

夕方にここまで書いて、日本語指導、夕食とインターバルが入ったついでにYouTubeを見ていたら、あっと言う間に時間が過ぎてしまいました。

日本が誇る世界的ヴァイオリニストの五嶋みどり、彼女の持つ演奏技術もですが、その響きに含まれる深い精神性が本当に素晴らしく、久しぶりに感動を味わいました。

ベタな言い方ですが、心(魂)の琴線に触れるというものです。

成功哲学を説いた本には、
『何事も真剣に取り組み続ければ必ず結果が出る』
と書かれています。

彼女の演奏を聴いていると、生き様にごまかしは効かない、真摯に生きることが大切である、そんなことが理屈抜きに体に染み渡ってきます。

人間の流す涙には三種類あるそうです。
喜び悲しみといった感情で流す涙、タマネギを切ったりあくびをした時に出る生理的な涙、そしてもうひとつは偉大な自然と接したり敬虔な思いを抱いた時に流れる感動の涙です。

自分は今日五嶋みどりのバッハを聴いて目頭が熱くなりました。
その時の感覚を言葉で表現するならば、生きる喜びといった華やかなものではなく、生の実態そのもの、それをほんの一瞬垣間見れたような思いになりました。

その瞬間はすべての感情が消え去り、ただ生の本質があるだけで、これは何ものにも勝る根源的なヒーリングミュージックです。
(もうヒーリングという概念を超えています)

これまでバッハやモーツァルトの素晴らしい演奏を聴き、
「天上界ではこんな音楽が流れているんだろうな」
と想像したことは何度かありますが、それとは逆に、自分の魂の奥底を見られた、あるいは感じられたという感覚を持ったのは生まれて初めてです。

これは五嶋みどりが持つ深い精神性ゆえなのか、あるいはインドで三ヶ月間のロックダウンを経験した今の自分の心境によるものなのかよく分かりません。
確実に言えるのは、彼女の演奏には人の心を動かす大きな力を持っているということです。

またまた話は変わります。
こうしてキーを叩いていると、外で突然雨音がしてきました。
少し大きな音でしたが雨は十分ほどで収まり、それからしばらくすると部屋の外でガサガサ音がしてドアを開けてみると、雨に濡れてワンちゃんが雨宿りに来てくれていました。

あんまり可愛いので真っ暗な中で頭をひと撫でしてあげました。
とっても癒された気分です。

音楽でもワンちゃんでも理屈じゃないですね。
理屈で説明するもの、できるものはそんなに上質ではないように感じます。

それが今、日本より三時間半遅れのインドも6月1日になり、ロックダウンが解除された日に最初に感じた思いです。