内を見つめる<2>

今から二十年ほど前、まだスピリチュアルという言葉より精神世界という言い方の方が一般的だった時代です。

その分野ではある著名な方が、自ら体験したことや実験を冊子やホームページで公開していて、そのどれもが本質を突いたものなのでとても興味を持って見ていました。

その方は今も幅広くご活躍のようですが、途中から明らかに拝金主義の色合いが強くなり、今はまったく触れないようにしています。

その方、仮にM氏としておきましょう。
そのM氏が体験された話の中で、最も興味深かったのがマクロとミクロの体験です。

アメリカのモンロー研究所が開発した音響装置を使って対外離脱をし、意識を拡張させるヘミシンクという手法があり、現在何冊もそれに関する書籍があり、スピリチュアルに関心のある方にとってはとてもポピュラーな手法です。

そこで意識を拡張させていった領域をフォーカス○○といった数字を使った段階分けをしていて、たぶんM氏はこのヘミシンクを体験し、その様子を公開し、なおかつ意識を拡張させて行き着く最終段階まで行ったほぼ最初の日本人ではないかと思います。

その報告内容はとても示唆に富んだものであり、その後日本でもヘミシンクは急速に知られるようになりました。

M氏はまた仙人の世界も体験しておられます。
仙人というと深山幽谷に篭る白髭の老人をイメージしますが、現代の仙道の達人は都会の華やかなマンションに暮らす若い女性のようです。

M氏はその仙女の元を訪ね、ヘミシンクとは真逆の意識が限りなく小さくなる体験をされました。
仙女のそばで横になり彼女の導きで意識が縮小して身体の一部に溶け込むように入っていき、そこで行き着いた先、そこはヘミシンクで意識を拡張させて行った世界とまったく同じだったそうです。

ヘミシンクによって導かれたマクロ(極大)の世界と仙道によって導かれたミクロ(極小)の世界、この二つが相似であるというのは実に興味深く、これは読んだ瞬間間違いなく真理であると直感し、鳥肌が立ちました。

この時空を律する三大法則のひとつがフラクタル(自己相似形 )です。

そのフラクタルな性質が明らかに見られるもののひとつの例が原子モデルと太陽系の形です。

原子モデル

太陽系

この超ミクロの原子モデルと超マクロの太陽系がフラクタルであり、その間にあり、普段人間が肉眼で確かめられる世界にそれと相似のものが見当たらないというのは深い意味が感じ取れます。

物理学の世界でも、日常スケールの世界は「リンゴが木から落ちる万有引力」で有名なニュートン力学で測ることができますが、超ミクロの世界は量子論、超マクロの世界は相対論とまったく異質の世界です。

一般的感覚では、近いスケールのものは近似した性質を持ち、遠く離れたものはまったく異なる性質を持つように考えられますが、両極端というのは互いに陰陽のバランスを持った関係であり、表と裏のように、ひとつの重大属性のみが真逆で残りはすべて相似という関係も多々存在します。

『外のすべてのものを知る唯一の方法は、内なる己を知ることである』
こんな言葉があり、これはM氏のヘミシンク、仙道体験とも合致します。

共生するもので最も大切なことはバランスをいかに取るかです。

近代の人類はその著しい文明発展の下、拡大一辺倒の道を歩んできました。
そしてそれが行き着いたらどうなるのか。
それはその真逆のものを必然的に求めるようになるということで、伸びきったバネが縮もうとするのと同じです。

拡大の反対は縮小することだけではありません。
目を内側に向け、これまで築いてきた文明の根本とは何なのか、個の人間にとっては生きるとは、幸せとは、そういった原点を見つめ直すことだと感じます。

現代人でも、生きる意味、幸せといったことをまったく考えたことがないという人はいないでしょう。
けれどそのほとんどが今ある社会の基盤の上に乗っかったものであり、現在のコロナ禍のようなその基盤そのものが崩れ去る危機に直面すると、その脆さがすぐに露呈してしまいます。

外に目を向けられないから内を見つめるといった消極的なものではなく。
極めて大きなバランスから見て、今は己の内なる宇宙を探索する時であり、それを求めているのだと、このコロナ禍が進む中で強く感じるようになりました。

そしてそれが本当に自らが望んで導いたものであるのなら、その思いと真剣に対峙し、そこから“卒業”できるよう歩んでいくことが、現在目の前にある事態を早急に解決する最善の道であると信じます。

限りなく広い内なる世界に一歩を歩を進めましょう。